Xperia 1の新型カメラ性能、αの技術が「ソニー内部の対立」解消で搭載可能に

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ソニーモバイルの新型Xperiaフラッグシップモデル、Xperia 1。

国内でも2019年夏モデルとして遅くとも6月頃には発売となりそうなこの新型Xperiaですが、新機能・特徴の一つと言えばなんといってもXperia初のトリプルカメラではないでしょうか。

一方、このXperia 1はまだ商品版に近いレビュー用端末はまだ存在しないとのことで、搭載のカメラ性能についてもフェイクっぽい怪しいレビュ-しかなく、その実力は未知数。
(現在、youtube上にアップされている他機種とXperia 1の比較動画などはファイクと思った方が良いと思います)

発表会でもXperia 1がαカメラの技術が採用されていることは言及されていましたが、移植された技術としては「瞳AF」だけが注目されがちです。

そんな中、ESATO経由でTrusted ReviewによるこのXperia 1の新型カメラの開発秘話?的な非常に興味深い記事が紹介されていました。

その要点の一つが従来のXperiaとの撮影した画像処理の方法。

The Sony Xperia 1 also processes photos in the same way as Alpha cameras, according to March. “Normally when you take a picture, the phone will then compress it into a JPEG and then add the noise reduction. How Alpha does it is that it takes the Raw image, adds the algorithm to reduce the noise on the Raw image, then compresses it to JPEG, then you put noise reduction on top. That’s how Alpha is doing it. From Xperia 1, that’s how Xperia 1 will do it as well”, he said.

つまり、従来のXperiaで撮影された画像処理は:

撮影→→圧縮→JPEG→ノイズ除去

という順序だったのに対し、Xperia 1に搭載された新開発の画像処理エンジン「BIONZ X for mobile」ではαシリーズと同じ手順で:

撮影→RAW→ノイズ除去→圧縮→JPEG→再度ノイズ除去

というように、RAW画像の状態とJPEGへの圧縮後の2回ノイズ除去を行う、とのこと。

カメラ素人の私にはこの撮影後の画像処理の行程の違いがどの程度の差を生むのかは分かりません。また、ライバル機種がどのような画像処理をしているのかも知りません。

ただ、ソニーのアルファシリーズが一眼レフカメラで最高峰ブランドの一つであることは紛れもない事実で、このα部門からの技術提供がなければ今回の新型カメラの搭載は実現できなかったことは確かなようです。

また、さらに興味深いのが以下の部分:

A closer collaboration with Alpha is a definite, thanks to the management change that’s happened in Tokyo with Mobile now belonging to Imaging.

There have also previously been issues with interdepartmental rivalry stifling collaboration, Marsh admitted. “Even though we’re one company, there are still sometimes barriers that Alpha doesn’t want to give Mobile certain things, because all of a sudden you have the same as what a £3,000 camera’s got.

重要な部分だけを意訳すると:

新マネージメントになる以前のソニーでは部門間の対立がコラボレーションを難しくしていた。同じ会社なのにアルファ部門は「40万円前後のカメラで撮影した写真をスマートフォンで撮影されては困る」という思いからモバイル部門に技術提供をすることを渋っていた。

ご存知のように、昨年夏にはミラーレス一眼αシリーズを成功に導いたエンジニア、槙公雄氏がソニーモバイルの副社長へ抜擢。

新マネージメントとはこれを指していると思われ、要はこれにより今まで技術提供を渋っていたソニーのイメージ部門から積極的な技術協力・移植がされるようなになった。
そしてこれが今回のXperia 1のカメラ性能が大幅進化した背景にある、ということ。

ただ、これ、逆に言えばすごく情けない話。

というのも、そういった社内の部門間のくだらないライバル意識や「壁」がなければ今までの機種でも十分に優秀なカメラを搭載したXperiaをリリースすることができた、ということではないでしょうか。

ご存知のようにXperiaフラッグシップのカメラ評価はXperia Z5~XZくらいからでしょうか、急激にライバル機種に追いつかれ、ここ数世代はDXOMarkといったレビューサイトにさえ相手にされない状態になっていました。

もちろん、すべてのレビューサイトが公平だとは思いませんが、その一方でここ最近のXperiaは過去のような頭一つ抜けたカメラ性能を誇る機種でなくなったていることは一般ユーザーですら認めるところ。

その原因が社内のくだらない内部事情だった、というのはソニーを好きな人ほどやるせない気持ちになるのではないでしょうか?

大企業ソニーと言えども、今回の記事はまさに日本企業のだめな部分をあぶり出す典型的な例とも言えそうです。

それにしても今回のTrusted Reviewの記事は提灯記事中心の日本のメディアのものとは違いなかなか突っ込んだ内容で面白いです。

Google翻訳経由でも十分理解できると思うので、ぜひソース記事もご覧ください。

コメント

  1. より:

    でしょうね

  2. XPERIAonly より:

    平井社長の時に内部の壁をぶち破る為に構造改革を頑張ってましたが、まだまだ柵が残ってたんですね。
    取り敢えずXPERIAの名機の歴史に残りそうなXPERIA1が、諸事情で簡単には移れない私としてはauでも出る様に願ってます。

  3. 残念電脳 より:

    SONYって名前がついてるだけの完全な他社状態の所が多すぎるからなあPSのアカウント一つでSONYグループの他のサービスが使えるようになるのにもすさまじく時間かかったし一部では未だに共用化されてないですしね。ブラビアの技術を使っていますって言う画面もインタビュー記事見る限りだと概要だけ教えられて結局全部自作した別物みたいですし。

  4. そそそそソニー より:

    期待したいところですが、
    以下の理由から期待し過ぎは禁物ですね

    ・BIONZ X搭載を売りにしたソニーの上級デジカメRX100M5Aですが、非搭載のRX100M5とさほど変わらず、の声多し
    (M5の時点で評価が高い、というのもありますが)

    ・αに搭載されている4D(予測)フォーカスを、すでにファーウェイの「スマホ」には提供している

    ・RXシリーズのみならず、ハンディカムにも使用されているツァイスレンズは使用せず

    • ふぁふぁふぁふぁHuawei より:

      グループ内だからと苦労して開発した技術を無料でよこして使わせろと言ってくるろくな成果を出せてない赤字部門と特許関係のお金を気前よく払う他社なら他社の方を優先したんでしょうね。向こうにしても今から追いかけで1から開発するのに必要な開発資金からしたら比べてはした金な特許料金と提携費用で手には入って万歳でしたでしょう。

      • 名無し より:

        いやそれ言ったらお互いさまでしょ。モバイルが黒だった時に赤の事業部だってあったんだから。それにカメラ事業部で無線機周りの技術が必要になったときに、恨まれたらどうするつもりなんかね。

        今のソニーは身内で殴りあってその余力で他と戦うなんて余裕ないはずなんだけど
        この状況はまずいと思うよ。

    • flk より:

      RX100M5AはRX100M5の改良型でしかないし、4D Focusは動体予測アルゴリズムにそういう名前つけてるだけで別にHuaweiに提供するようなものではないし何を言ってるの?

      ZEISSレンズなんて言っても、どうせ中身ショボいレンズにZEISSの名前つけても無駄でしょ。Huaweiの名前だけVARIO-SUMMILUXじゃあるまいし

  5. xp より:

    全文読んできました。
    部署間の問題が少しずつ修復されつつあるというのは、今後に期待できるように思えます。
    しかし、各部門が技術を出し渋ってたというのが本当だとしたら、これほど馬鹿馬鹿しいことはないですね。
    例えばカメラ部門がいくら£3000相当のカメラをXperiaにあげたくないと渋ったところで、Xperiaが持たなくても他社が携帯のカメラを進化させているんだから、どっちみちそちらと競合することになって、結局共倒れするということに気づいてほしいです。

  6. より:

    >40万円前後のカメラで撮影した写真をスマートフォンで撮影されては困る

    この一言でアルファ部門が如何にアホで惨めなのかはっきりした。

    • そそそそソニー より:

      ツッコミどころが多々ありますよね…

      ・一眼(APS-C、フルサイズ)で培った技術を、スマホ向けセンサーに流用して同等のものが撮れる技術がそもそもないはず

      ・もしスマホ向けセンサーで同等の写真が撮れると言うのなら、αで大型センサー・大型ボディを出し続ける必要がない
      (RX100サイズのα出せばいいじゃないかと)

  7. 名無し より:

    そりゃエレキをまとめて子会社にすればよかったのに各事業部ごとに子会社化したんだからそうなるでしょ。

    スマホなんて本気で作ってしまうと他の事業会社の損にしかならない分野なんだし。
    エレキ部門をまとめて子会社にすれば、どのデバイスで利益を上げようと全体の利益になるから、横断的なプロジェクトや製品が作りやすい。
    これは明らかに平井社長の失策だと思うわ。

  8. 名無しさん より:

    「社内事業部の対立」ではなく、単に「別会社」だから
    ソニーは全ての事業部が別々の会社に分割されていて、構造的に事業部間の協力が出来ないように改革された
    だからカメラ部門やオーディオビジュアル部門が他社であり尚且つソニーグループのお荷物でしかないモバイル部門に協力してやる必要もメリットも無い
    だから協力しなかったってだけ
    カメラ部門からすればソニーモバイルと協業するのも中華メーカーと協業するのも同じ事

    • 名無し より:

      そんなことしてるから各個撃破されてしまうんだけどね。

      カメラもオーディオも斜陽産業で次がない。
      成長産業だったり主要産業(スマホ、スマートデバイス)、次世代産業になるような産業で存在感皆無の今の現状は不味いでしょ。